プロローグ 『平和の種、災厄の芽』

荒廃した大地が広がる世界に人影が二つ。
一人は黒い鎧を着込み、身の丈ほどある漆黒の大剣を持った黒い翼を持つ者。
一人は白い鎧を身に着け、淡い光を帯びる白い細剣を携えた白い翼を持つ者。

白い翼を持つ者がそれまで俯いていた顔を上げ、口を開く。
「オリベル、もう一度言う。今ならばまだ間に合う……。だから戻ってきてくれ」
黒い翼を持つ者は吐き捨てるように言葉を返す。
「馬鹿を言うな、セメエル。私はもう戻れない。戻る気もない」

オリベルと、セメエル。二人の視線が交錯する。
そこにかつてあった親愛の情は、既にない。

「そうか……ならば、私はお前を殺さなければならない」
「ふふふ……死合いか、思えばセメエル、私はお前に負けてばかりだったな」
「……お前は勝てないさ。今度も……私が勝つ」
「それはどうかな?昔のようには、いかないかもしれない」

お互いが思い出す。毎日のように遊んで、喧嘩をし、笑いあっていたあの頃を。
もう、戻ることのない過去に決別し、二人は俯いていた顔を上げた。
互いの瞳に宿るのは、渦巻く憎悪と僅かな哀しみのみ。

「ガープ様に、お前の死を捧げる!」
「ラスエルとインフォスのために、お前を殺す!」

二人は剣を構え、相手に踊りかかった。漆黒の大剣と、白い細剣がぶつかり合う。
大振りの横薙ぎをかわし、鋭い突きの一撃を避ける。剣は何度も火花を散らし、お互いの攻撃がいかに強力なものであるかを物語っていた。
このまま力を消耗していくのは得策ではない。二人は、最大の力で決着をつけることにした。

「死ね……セメエル!」
「消えろ……オリベル!」

オリベルの手から放たれた黒い光球と、セメエルが打ち出した白く輝く光が衝突したその刹那。
白と黒の光の接触した一点から、凄まじい光と烈風が巻き起こった。風は大地を抉り、光は瞬く間にオリベルとセメエルを飲み込んだ。
そして、一瞬の後。
死人の口のように開いた大穴以外にそこに存在しているものは、何もなかった。

どうも戦闘の描写って難しいな……。もっと詳しく書けるようになりたいです。
フェバを知らない人でも読める小説を目指してます。